突然の入院という言葉は、私たちにとって切って切り離せないワードのひとつです。
いつどこで事故に遭ったり、大きなけがをしたり、病気になって入院することになるか、私たちのなかの誰にもわかりません。
備えあれば患いなしとは言いますが、あまりに突然すぎるとまず何をどうすればよいのか、わからなくなってしまいますよね。
特に入院費用については、当事者になってはじめて調べることも多いだけに、困惑する方は少なくありません。
このページでは突然の入院に際し、入院費が工面できない場合やそんなときの解決策についてピックアップしていきます。
入院時の自己負担額は平均で22.7万円、1日あたり21,000円となっていて、仕事に就けず給与も出ない状態ではかなり大きな負担となっています。
入院中の医療費に関しては様々な医療保険が利用できますが、いずれの場合も給付を受けられるまで時間がかかりますので、早め早めの申請が必要となります。
突然の入院費を用意するには以下のような方法があります。
- 傷病手当金
- 高額療養費制度
- 高額療養費貸付制度
- 医療費控除
- カードローンの利用
入院自己負担額の相場と、経済的負担への不安
生命保険文化センターの調査によると、ケガや病気に対する不安の内容としては以下のようなものが挙げられています。
このように、入院が長期に渡った場合の医療費がかさんでしまったり、自分が入院したときに本当に公的医療保険が適用されるかどうかについての不安が圧倒的に多いようです。
項目 | 費用 |
平均在院日数 | 31.9日間 |
入院時の自己負担額 | 22.7万円 |
1日あたりの自己負担額 | 21,000円 |
また同センターの調査では、入院した場合の平均在院日数は31.9日間、入院時の自己負担費用の平均は22.7万円となっていました。
さらに入院時の1日あたりの自己負担費用の平均は21,000円となっていて、数字として見るだけでもかなり大きな負担であるということがわかります。
参考:https:/www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/medical/4.html
では、入院時に利用できる公的医療保険にはどのような条件があり、どれくらいの金額を受け取ることができるのでしょうか。
突然の入院に費用が払えないときの解決策
傷病手当金を受け取る
支給額 | 支給開始前の1年間の各月月収の平均額÷30日×2/3 |
支給日数 | 最長1年6か月 |
支給されるまでの期間 | 一般的に2週間~1か月程度 |
傷病手当金とは、健康保険、船員保険、共済組合などの公的医療保険に加入している人が、病気や怪我などで働けなくなった場合に受け取ることができる給付金です。
ただし、国民健康保険に加入している方は受給することができません。
傷病手当金の要件
傷病手当金は、以下の要件をすべて充たす場合に受給することができます。
- 業務外で病気・怪我を負い、その療養をするための休業であること
- 仕事に就くことができないこと
- 連続して3日間以上休業していること
- 休んでいる期間、給与の支払いが行われないこと
※給与の支払いがあっても、支給額より少ない場合は差額が支給されます。
また障害厚生年金を受け取っている場合や、退職して年金を受け取っている場合には傷病手当金の支給対象にはなりませんので注意してください。
傷病手当金の申請先
加入している保険窓口に申請書の提出を行ってください。
申請書は各保険のホームページからダウンロードしたり、窓口に問い合わせることで入手することができます。
もしも上記の条件にすべて当て嵌まっている場合には、積極的に窓口に相談、傷病手当金を受け取るよう早めに申請を行ってください。
高額療養費制度
高額療養費制度とは、ひと月の間に医療機関の窓口での支払い金額が一定額を超過しているとき、超過している金額分を払い戻ししてくれるという制度です。
この制度は、公的医療保険はもちろん、国民健康保険に加入している方でも利用することができます。
ひと月に支払う医療費の上限は被保険者の世帯所得などによって設定されます。
高額療養費制度の申請先
加入している保険の窓口まで必要書類を持ち込むか、あるいは郵送で提出してください。
申請には以下の書類が必要です。
必要書類 | 備考 |
高額療養費支給申請書 | 各保険機関によって入手方法は異なる |
国民健康保険証 | 加入している方のみ |
医療費の領収書 | 保険適用の診療・入院で支払った医療費 処方箋により薬を受け取った時の費用 |
住民税非課税証明書 | 住民税非課税世帯の方のみ |
高額療養費制度でのお金の受け取り方
高額療養費制度でのお金の受け取り方は、次の2種類です。
- 病院で一度お金を立て替えて支払い、後日(3か月以上先)に払い戻しを受ける
- 病院の窓口で限度額適用認定証を提示し、上限度額までの支払いにする
限度額適用認定証とは?
限度額適用認定証とは、事前に保険機関まで申請し、所得区分の確認をされたのちに交付される認定証です。
病院での支払窓口で保険証と一緒に提示すれば、ひと月あたりの医療機関での支払いが自己負担限度額までとなります。
経済的負担を少しでも軽減するために、ぜひ事前に申請しておきたいですね。
参考:https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3020/r151
高額医療費貸付制度
上記の高額療養費制度では、早くても払い戻しが3か月以上先になってしまうため、その場での経済的負担を免れることができません。
そこで、高額療養費支給見込み額の8割相当を無利子で貸し付けてくれる制度が「高額医療費貸付制度」となります。
高額療養費制度同様、健康保険組合・共済けんぽ・船員保険などの公的医療保険はもちろん、国民健康保険の被保険者も対象となっています。
高額医療費貸付制度の申請先
高額療養費制度と同じで、現在加入してる保険の窓口まで書類を提出する必要があります。もちろん郵送で手続きすることも可能です。
申請には以下のような書類が必要です。
- 高額医療費貸付金貸付申込書
- 高額療養費支給申請書(貸付用)
- 医療機関にかかったときの請求書や領収書のコピー
- 高額医療費貸付金借用書
貸付金の受け取り方
申請から2~3週間程度で、申請のときに指定した口座に貸付金が振り込まれます。
3か月先という期間より少しマシですが、それでも時間がかかってしまうため早め早めに申請しておきましょう。
貸付金の返済について
貸付金の返済は、高額療養費給付金から充てられることになります。
これは診療月から3か月以降となり、相殺されたあとの差額が口座に振り込まれるほか、返済できなかった場合には返納通知書が送付されることとなります。
参考:https://www.kyoukaikenpo.or.jp/shibu/osaka/cat080/kashitsuke/kasitukekouryou
医療費控除
医療費控除とは、自分もしくは自分の家族が1年の間、病院などの医療機関に10万円以上支払っているときに、税務署へ確定申告することで、支払った税金の一部が戻ってくる制度です。
申告するときに医療費の領収書を確定申告書に添付することになりますので、請求書や領収書は必ず大切に保管するようにしてください。
まとめ:その場での支払いはやっぱり必要。お金を借りることも考えて
医療費の支払いや適用される保険についてご紹介しました。
いずれも申請してから少し時間をおいた給付・払い戻しになっていて、医療機関の窓口での支払いには、ある程度まとまった費用が必要であることがわかりました。
貸付を受ける場合にはできるだけ早い段階からの申請が必要ですが、具合が悪かったり、家族に頼れない場合など、費用を工面できそうにないときには、即日でお金を借り入れられるカードローンの利用なども検討する必要があるでしょう。
ただしカードローンの利用は最後の砦です。
日頃からの病気や怪我への備え、適用される保険がどんなものであるのかを知っておくだけでも、突然の入院には大きな安心を齎してくれるでしょう。