多くの賃貸住宅では、2年以上住んでいる場合に家賃の更新費用を徴収するという、古くからのルールのようなものが備わっています。
2年以上同じ賃貸物件に住みつづけたいというときには、この更新費用を支払わなければなりません。
更新費用の支払いに関しては法的な定めこそありませんが、契約書に支払いの記載がある場合にはきちんと支払う必要があります。
ただこの更新料は家賃の1か月~1.5か月分のお金や、それ以外にも様々な費用をまとめて支払わなければならないため、年度末にはとても苦しい出費なんですよね。
それではこの家賃の更新料が払えない場合どうしたらよいのでしょうか。対処法についてまとめていきます。
家賃の更新費用は2年ごとにかかり、多くは古くからの慣習で徴収されるものとされています。
相場は首都圏で月家賃の1か月分~1.5か月分程度となっており、これに更新事務手数料や火災保険などが上乗せされる場合もあります。
支払えない場合には退去か引っ越し、もしくはお金を借り入れるなどして更新費用を支払う必要があります。
詳細は本文を参考にしてください。
家賃の更新費用の相場と徴収の実態
国土交通省が2007年6月に発表した資料によると、地域ごとに更新料を徴収しているかどうかが大きく変わっているようです。
参考:https:/www.mlit.go.jp/kisha/kisha07/07/070629_3_.html
調査によると、東京都や神奈川など、関東圏の多くではほとんどの賃貸物件で更新料の徴収が行われていることがわかります。
一方で京都を除く西日本地域では、更新料の徴収は一般的ではなく、大阪や兵庫に至っては0%という結果になっていました。
ですので、この文章を読んでいる方の中にも「更新料ってなに?」と疑問に思っている方も少なくないはずです。
しかし、首都圏では65%以上の賃貸物件で、2年ごとに家賃1か月分以上の出費があるということになります。
いくら古くからの慣習とはいえ、2年ごとの更新料がイヤだからそのたびに引っ越す…なんて手間や費用はかけたくありませんよね。
ただこうも地域ごとにまちまちな徴収状態だと、「本当に払わなきゃいけないものなのか?」と考える人が出てくるのは必然です。
実際同調査では更新料を徴収する主な理由として、
- 「家賃が低い分の収入を確保」
- 「一時金収入」
- 「長年の慣習」
などといったものを掲げており、これは住んでいる人にとって負担にしかならない費用なのでは?と話題になったことがありました。
家賃の更新費用って本当に払わなきゃいけない?
この曖昧な状況を打破するべく、2011年7月に最高裁の判決で、「あまりにも高額すぎない場合でなければ、更新料の徴収は有効である」という結論に至っています。
つまり、1か月~1.5ヶ月分の家賃程度の更新料であれば、賃貸借契約書に記載し同意したうえで契約できるということになりました。
更新料と同時にかかるお金って?
また物件によっては、更新料と同時に火災保険やオプションサービスなどの費用が別途でかかることがあります。
項目 | 費用相場 |
更新料 | 家賃の1か月~1.5ヶ月分 |
更新事務手数料 | 家賃の0.5か月分 |
火災保険料 | 1.5万円~2万円 |
例えば月の家賃が6万円の物件に住んでいたとすると、
更新料9万+更新事務手数料3万円+火災保険2万円=14万円。
これに家賃やオプションサービス、さらに保証会社を利用している場合にはその料金も発生することがあるので、2年に1度は20万円以上の出費があることになります。
更新料が払えないと当然立ち退くことになり、住む家がなくなってしまっては働くこともままなりません。
なので、入居者としては更新料を支払うか、転居を考えざるを得ないということになりますね。
更新費用が払えないときの対処法
家賃の更新料は法的には高額すぎない限り認められるものであり、契約時に同意していれば支払い義務が発生する、ということがわかりました。
それではこのような更新費用が払えない、払いたくないという場合にはどのような解決策があるのでしょうか。
大家さんと交渉する
前述の最高裁の判決によれば、更新料は2か月分までは合法とされていますので、月々の家賃をギリギリで支払っている人にとってはかなり大きな負担となるでしょう。
このように更新料が支払えない場合には、まずは大家さんや管理会社に交渉を持ち掛けましょう。
お金が用意できないときには退去せざるを得ませんが、それにより大家さんは次の入居者を探す必要があります。
駅にほど近い人気物件などではすぐに次の契約が決まるため、話を流されてしまうことも多いようです。
しかし次の入居者がなかなか見つからないような物件では、更新料の支払いを再検討してくれるケースもあります。
分割で支払うよう相談する
更新料の金額が見直されない場合でも、更新費用を分割で支払えないかどうか相談を持ち掛けるのも一つの方法です。
現に、毎月支払う家賃に更新料を少しずつ上乗せして支払うようにしたり、更新料をゼロにする代わりに家賃を値上げしたりする大家さんも少なくありません。
入居時に契約書に押印している以上更新料を支払う義務は発生しています。
交渉においては、「住みつづけたい」という意思を伝えることや、日頃からのコミュニケーションが重要です。
引っ越しを考える
どうしても更新料を払いたくない、という場合には更新料のない物件へと引っ越すことを検討してください。
大阪、兵庫での物件はもちろんですが、東京都でも35%にのぼる更新料のない物件が存在しているのです。
部屋探しをするときも「更新料なし」で探したり、定期借家契約という契約期間を自由に定められる物件を優先して探すようにしましょう。
ただし定期借家契約を行う場合には、どの程度の期間その物件で暮らすのかきちんと確定したうえで、公的証書による契約を行うことになります。
お金を借り入れて支払う
どうしても引っ越したくない場合、さらに更新料の支払い義務が発生していて、交渉も受け付けてくれない場合には、カードローンなどからお金を借り入れて支払うことも視野に入れてください。
収入が安定しているのであれば働きながら返済していくことも可能ですし、いまの物件に住みつづけることもできます。
初回利用であれば利息が不要なカードローンも増えてきていますので、借入のときにはよく情報を精査し、返済シミュレーションをしてから、足りないぶんだけを借り入れるようにしてください。
まとめ:更新料は契約書にあるなら基本的に支払うべき。払えないときは要相談
地域によって徴収状況に大きな差のある更新料ですが、最高裁の判決によって契約書面に明記されている場合には基本的に支払うものと捉えておいたほうがよいでしょう。
賃貸物件を借りるときには十分注意して読んでおく必要がありますし、また詳細の説明がなされない場合でもきちんと問い合わせておきましょう。
契約書を熟読、納得したうえで家を借りられるよう、物件の事前調査と情報の整理整頓が必要ですね。